「とびひだ!」とわかったとしても焦って市販の軟膏や自宅にあった薬などを勝手に使用するとかえって症状が悪化する場合があります。
ここでは正しい薬の知識や病院での処方薬を紹介します。適切に処置していけるようにしていきましょう。
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とびひに効果的な治療法とは?
とびひの原因となるのは、黄色ブドウ球菌が増殖をする時に出される表皮剥脱毒素の『エクスフォリエイティブトキシン』いう名前の毒素です。
引っ掻き傷などから黄色ブドウ球菌が入り増殖しだすと、この毒素がどんどん産生されて皮膚の浅い部分を壊してしまう為に水疱や膿疱が出来てしまいます。
この毒素を出す黄色ブドウ球菌には抗菌薬が効くものと効きづらい耐性菌がいる為、市販薬を塗っても2~3日変わらない場合は病院で抗菌薬を選択してもらう必要があります。
とびひはきちんと適正な薬を使用することによって酷くならずに治すことができます。
ですから時間的に余裕がない場合を除き、基本的には病院に行く方が安心でしょう。
使われる薬は塗り薬と内服薬となりますが、菌の種類や症状によって使われる薬も変わります。
次は実際に使用されるお薬を見てみましょう。
とびひに効く市販薬は?
基本的に抗生剤を用いて原因菌の殺菌、増殖を防ぎます。市販薬では内服薬はなく、外用薬のみとなります。
ただ、上記にも示した通り、原因となる黄色ブドウ球菌には抗生剤の耐性があるものがいて効かない場合もありますので、基本的には病院を受診することですが、土日などでとりあえず使用する場合には以下のようなものがあります。また病院にかかる際には使用した薬を持っていき、医師や看護師に伝えるようにしましょう。
市販の抗生物質
・テラ・コートリル軟膏
・クロマイ-P軟膏AS
・ドルマイシン軟膏
これらは効能効果に“とびひ”と銘記されています。
あくまで一時的な使用に留めておきましょう。もちろんごく初期の段階でとびひに気付き、この薬で治ることに越したことはありませんが、症状の改善が見られない場合にはしかるべき医療機関へ受診しましょう。
とびひに効く病院処方薬は?
とびひになった場合、感染し増殖している原因菌(黄色ブドウ球菌・溶連菌)を抗生物質で殺菌するのが基本です。
【内服薬】
①抗生物質…原因となる細菌をやっつける薬です。
②抗ヒスタミン薬…痒みを抑える薬です。
③ステロイド…炎症を抑える薬です。
【外用薬】
抗生外用薬・抗菌剤外用薬…塗る抗生剤です。
<抗菌剤>
・エリスロマイシン軟膏・アクロマイシン軟膏・クロロマイセチン・フシジンレオ・カナマイシン・アクロマイシン軟膏・ゲンタシン・ソフラチュール・硫酸ポリミシシンB末
<抗菌薬合剤>
・クロマイP軟膏・コリマイフォーム・テラマイシン軟膏・パラマイシン・フランセチン・ナジフロキサシン・アクアチム軟膏
<サルファ剤>
・テラジアパスタ
ステロイド軟膏の強さ
ステロイド軟膏は炎症を抑える塗り薬です。強さによって様々な種類があります。
<ストロンゲスト(一番強い)>
・デルモベート・ジフラール・ダイアコート
<ベリーストロング(すごく強い)>
・フルオシノニド・ジフルプレドナート・アムシノニド・フルメタ・アンテベート・トプシム・シマロン・リンデロンDP・マイザー・ビスダーム・ネリゾナ・テクスメテン・パンデル
<ストロング(強い)>
・フルオシノロンアセトニド・エクラー・メサデルム・ボアラ、ザルックス・アドコルチン・リンデロンV、ベトネベート、・プロパデルム・フルコート
<マイルド(中間)>
・リドメックス・レダコート・ケナコルトA・アルメタ・キンダベート・ロコイド
<ウィーク(弱い)>
・プレドニゾロン・プレドニゾロン
※場合によってはステロイド軟膏をとびひで使うと皮膚の免疫機能を下げて悪化する可能性もありますので、必ず医師の指示に従って使用してください。例えば前の薬が余っていたからと使った場合かえってひどくなる場合があります。
これらの薬を使用する場合、原因菌によって様々な種類があります。
ですから例えば子供のとびひの薬を大人が使用しても治らない場合がありますので、必ず医師に確認してから使用するようにしましょう。
水疱ができる水疱性膿痂疹(一般的なとびひ)の治療薬
とびひの多くが水疱性膿痂疹です。
このとびひ症状の場合、抗生物質の軟膏と内服薬を併用を一般的にします。
内服薬は、通常セフェム系の抗生物質が用いられます。
<セフェム系薬>
・L-ケフラ-ル・ケフレックス・サマセフ・L-ケフレックス・ケフレックス・センセファリン・ラリキシン・タイセファコール・オラスポア・パンスポリンT・オラセフ・フロモックス・トミロン・セフスパン・メイアクト・セフゾン・セフテム・バナン・ケイペラゾン・シオマリン
症状の改善具合を見ながら、その都度、量や薬の内容を調整していき、かゆみが強い場合などは、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬が処方されることもあります。
かさぶたができる痂皮性膿痂疹(主に大人のとびひ)の治療薬
痂皮性膿痂疹の原因となる溶血性連鎖球菌はペニシリン系もしくはセフェム系の薬が第一選択となります。
<セフェム系薬>
・L-ケフラ-ル・ケフレックス・サマセフ・L-ケフレックス・ケフレックス・センセファリン・ラリキシン・タイセファコール・オラスポア・パンスポリンT・オラセフ・フロモックス・トミロン・セフスパン・メイアクト・セフゾン・セフテム・バナン・ケイペラゾン・シオマリン<(ここまで前項と一緒なので引用にしてください)
<ペニシンリン系薬>
・シンセペン・ペニシリンGカリウム・ベンジルペニシリンベンザチン・アミノベンジルペニシリン・ドイル・アモリン・サワシリン・パセトシン・ワイドシリン・ソルシリン・ビクシリン・アセオシリン・ペングッド・バラシリン・バストシリン・メリシン・ユナシン・ペントシリン・オーグメンチン・コンビペニックス・クラバモックス・ゾシン・ビクシリンS・ユナシン-S
外用薬では、エリスロマイシン軟膏などの抗菌薬が用いられます。
※抗生物質を服用している場合、3日程度で症状が良くなってくるはずなので病院で再診してもらいます。
適切に医者から指示されている通りに薬を使用しているのにも関わらず症状が改善されない場合、使用している抗生物質が効きづらい黄色ブドウ球菌(MRSA)が耐性菌へと変化して発症している可能性があります。
注意しましょう。またその場合MRSAに対する治療薬がきちんとあります。
抗MRSA薬の種類
・塩酸バンコマイシン(VCM)・テイコプラニン(TEIC)・硫酸アルベカシン(ABK)・リネゾリド(LZD)・ダプトマイシン(DAP)などがあります。
いずれにしても合う薬、合わない薬が細菌や体質によって異なります。『とびひ』と侮らず、急がば回れの精神でしっかり通院することで大切なお肌と身体を守りましょう。
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