通年を通して感染する可能性のある『溶連菌感染症』
特に春から初夏にかけてと冬に流行し罹患しやすくなります。
2015年においては、溶連菌感染症に感染したの患者数は増えており、患者数は過去10年の間でピークとなっています。今後も感染者数が増加すると予想されます。
溶連菌感染症は「ただの風邪かな?」と思うような初期症状が出ますが、細菌感染症で免疫力が低下したまま放っておくと『急性糸球体腎炎』など重篤な合併症を併発するおそれがあります。
周りが流行していて「かかったかな?」と思ったらすぐに病院へ行きましょう。
ここでは検査の方法や、タイミング、料金などをお伝えします。
目次(クリックするとスクロールします)
溶連菌感染症の検査方法の種類は?
溶連菌に感染しているかを調べる方法として、いくつかの検査方法があります。
『迅速診断キット』による検査( A群溶血性連鎖球菌迅速診断キット )
綿棒でのどの奥の粘膜を少し拭い、検査キットでその粘液を調べる検査で、10分程の所要時間で溶連菌に感染しているかの判断がされます。
この検査は、溶連菌しか判定できない為、合併症を伴う罹患状況の把握ができません。
ただ、測定の為に特殊な器材などは使わないので緊急時や簡単な検査に対応できます。陽性の場合には約90%が2分以内に判定が可能です。(陰性の場合反応が出ません)判定に時間が掛からないだけではなく、検査の精度も高いとされており、まずこの検査をすることが多いです。
具体的検査方法は
- 検体採取用綿棒で咽頭部分の粘膜を採取
- 採取した検体を試薬に付けます。
- その液体をテストスティックに浸し、数分待つと判定が出ます。
という流れです。
咽頭培養検査
咽頭を綿棒でこすって粘液を採取し、細菌を培養して溶連菌がいるかどうかを確認します。
溶連菌がいるかどうかがわかり、他の細菌の存在も同時に調べられる為、合併症が疑われる時に使用されます。
しかし、専門の検査会社に依頼する為に数日間の日数が結果を受け取るまでに掛かります。
血液検査
血液を採取し、抗体を調べて確認する検査です。
溶連菌に感染した場合、体内にある『ASO(抗ストレプトリジンO抗体)』と『ASK(抗ストレプトキナーゼ抗体)』という抗体の値が上昇します。
それらを確認することで感染があるかどうかを判断します。この検査では溶連菌以外の病気を発見することも可能です。
ただ『ASO』『ASK』は感染1週間後から値が上昇すると言われ、通常は2週間後から確認が出来ます。
仕事などが理由でなかなか病院で診察を受けられずにいて、「なかなか治らない」という場合などに血液検査の結果が一つの判断基準になります。
治療後に受ける尿検査
こちらは『病気が治ったかを確認する為の検査』です。
溶連菌感染症が完治したかをしっかりと確認する為、病気が発症後、2週間くらい経過した後に尿検査を実施するケースがあります。
この検査結果によって腎炎が発症しているか否かを調べることができます。
溶連菌感染症の合併症として『急性糸球体腎炎』を罹患する場合があります。
溶連菌が発症してから2週間後に尿検査をおこない、特に問題がなければ大丈夫です。
GBS(B群溶血性連鎖球菌)検査
一般的に溶連菌は子どもを中心に感染する『A群溶血性連鎖球菌』がほとんどで、約90%がこのA群による感染だと言われています。
しかし、場合によっては『B群溶血性連鎖球菌』に罹患するケースがあります。
妊娠中の時、妊娠後期になるとこのGBS( B群溶血性連鎖球菌 )検査を受けることになります。
これは、赤ちゃんが『新生児GBS(B群溶血性連鎖球菌)感染症』にかかるのを防ぐ為です。
出産の際に赤ちゃんは産道を通りますが、この時にB群溶血性連鎖球菌を保有していると『産道感染』を起こしてしまう場合があります。
これは赤ちゃんにとって命に関わる感染症で、肺炎や敗血症、髄膜炎などを発症する場合があり、髄膜炎になると後遺症を残すケースがあります。
感染を防ぐ為に、B群溶血性連鎖球菌保有者であることがわかった母親には分娩時に抗生物質を使います。陣痛が始まってからお産が終わるまで4時間ごとに抗生物質を点滴にて母体へ投与し続けます。
感染確率
しかし、母親のGBS検査が陽性だとしても、実際に赤ちゃんがB群溶血性連鎖球菌感染症を発症している割合は約1%だそうです。その理由は、ほとんどの母親はB群溶血性連鎖球菌に対して免疫抗体を持っており、母親から赤ちゃんにきちんと抗体が受け継がれるからです。
しかし、免疫力が弱い人の中には抗体が少ない人などもいるので、赤ちゃんへの感染を防ぐ為にも分娩時にしっかり対処することが大切です。
検査のタイミングはいつ?
では具体的にいつのタイミングで検査をするか見ていきましょう。
『A群溶血性連鎖球菌迅速診断キット』『咽頭培養検査』
この検査は罹患してすぐの診察時に行います。
咽頭培養検査の場合は結果まで数日間かかります。
『血液検査』『治療後に受ける尿検査』
この2つは発症後二週間後を目処に行います。
どちらも合併症の有無を調べることが出来ますが、尿検査は主に腎臓の不調を調べる為に行います。
『GBS(B群溶血性連鎖球菌)検査』
こちらは妊娠後期の妊婦さんが行う検査です。
検査の料金価格は?
検査は基本、保険適用です。
『A群溶血性連鎖球菌迅速診断キット』『咽頭培養検査』
…900円ほど
『治療後に受ける尿検査』『GBS(B群溶血性連鎖球菌)検査』
…2000円ほど
『血液検査』
…病院によって変わります。
です。詳しくは病院に問い合わせましょう。