溶連菌はウイルス感染ではなく細菌感染です。
様々な病気を引き起こす合併症があることを知らない人は少なくありません。
ここでは溶連菌感染症に感染した時に発生する症状や合併症、感染が発生しやすい傾向などについて紹介していきます。
目次(クリックするとスクロールします)
溶連菌感染症の症状とは?
溶連菌は感染してから約2~5日ほどの潜伏期間があり、発症します。
具体的な症状を見ていきましょう。
のどの痛みや咳は?
主に上咽頭に付着して溶連菌は増えていく為、初期症状としては風邪のようなのどの痛みや細菌を排出しようとして咳が出ます。
風邪かな?と思っても周りで溶連菌が流行っていたらこの時点で病院へ治療に行きましょう。
熱や頭痛は?
子供の場合、細菌をやっつけようと38℃~の発熱を伴う場合があります。その際に頭痛を訴える時があります。
吐き気は?
子供の場合、大人と違う症状が出ることもあり、時に吐き気、腹痛などの症状が前面に出ることもあります。
皮膚の発疹や湿疹は?
『 猩紅熱(しょうこうねつ)』といって小さく赤い発疹を伴う発熱や『とびひ』などの皮膚症状が出る場合があります。
合併症は?
溶連菌感染症によって合併症が併発する場合があります。
重篤なケースもありますのでまずは知識として知っておきましょう。
『中耳炎』
溶連菌が起こす炎症が、のど鼻から中耳に進行して起こります。抵抗力や、まだ鼻管や耳管の細くて弱い子供がなりやすいです。
『気管支炎』
上咽頭から気管支へ炎症が進み、痰などの影響により気管支炎が引き起こされます。
『リンパ節炎』
溶連菌が増殖し、リンパ節まで炎症が進行して痛みと腫れが生じた状態です。
『副鼻腔炎』
副鼻腔に炎症が進行し、白血球の死骸である鼻水により鼻詰まりや咳、それに伴う頭痛が起こります。
『急性糸球体腎炎』
溶連菌合併症で最も気を付けるべきはこの急性糸球体腎炎です。
溶連菌感染症を発症して約2週間後を目処に、じわじわと増殖した細菌が腎臓に炎症を起こす可能性があります。
これが『処方された抗生物質を症状が出なくなったからといって勝手に止めてはいけない』理由です。
溶連菌感染症発症後2週間ほど経過した後、尿に血液が混じり、むくみや高血圧などが生じます。
このような合併症を防ぐ為に、溶連菌に感染した後、2週間後くらいに尿検査を行います。
『リウマチ熱』
こちらは日本にはほとんどなく、発展途上国に多い合併症です。
溶連菌は海外では日本以上に種類があります。もし現地で溶連菌感染症に罹患した場合は気を付けましょう。
溶連菌感染症を発症して2週間後ほどに発症するおそれがある自己免疫疾患で、心臓弁膜症の原因にもなります。
『血管性紫斑病』
ごく稀に溶連菌感染症が原因で免疫反応に異常が起こる自己免疫疾患です。
自分で自分の血液を攻撃する為、皮膚に紫斑が出来たり、関節痛や腹痛、嘔吐などが現れる病気です。
溶連菌感染症を甘く見てはいけません
以上、溶連菌感染症が引き金となって発症した合併症の症状は、今後完治することなく一生付き合っていく必要があるものもありますので、これらの合併症があることを知りしっかり防がなければなりません。
また、初期症状は風邪とほぼ同じ症状(咽頭痛や発熱)がでますが、対処法は全く異なります。
特に重要なのは『病院で処方された抗生物質を完全に飲みきる』ということです。
症状がなくなったからといって勝手に薬の服用を中止すると思わぬ合併症の危険がありますので、必ず服用するようにしましょう。
溶連菌感染症は気の付かないうちに感染していて、合併症だけが症状が出てから分かるというケースも見られますので気を付けていきましょう。
大人と子供の症状の傾向の違いは?
溶連菌感染症は大人よりも子供の方がかかりやすいです。
主に4歳以上の幼児期から小中学生までの子供に感染しやすいことが知られています。
家庭内感染に注意
しかし家族内感染もよくあるので、小さな子供が罹患した場合、兄弟では約5割、大人の家族では2割の方が感染します。ただ大人は症状があまり出ないまま感染しているケースも多く、症状が出ても軽い喉の痛み程度で終わってしまうケースもあります。
これは、大人が子供に比べて免疫力が高く、抗体が出来ている為に感染が軽減しているからです。
しかし、症状が出ずらい大人はその為に感染に気付きづらく、知らない内に合併症に成り得る可能性がありますから、いずれにしてもしかるべき医療機関でしっかりと治療するようにしましょう。
治療は抗生物質(抗生剤)が有効?
溶連菌感染症は特に大人は知らない内に自然治癒をして緩解しやすいですが、その場合、体内に細菌が残ったまま保菌状態となり、感染を繰り返しやすくなります。
また鼻風邪かな?と放っておくと治癒するまでに長い時間がかかったり、重篤な合併症を引き起こしてしまう可能性もあります。
以上のことから、病院で抗生物質を処方してもらい、しっかり服用することが大切です。
注意点
また、溶連菌を除菌するの為には最低10日間程度の服用が必要となりますが、途中で症状が出なくなったからといって勝手に止めてしまうと完全な除菌ができず、保菌した状態になる可能性が高くなります。その場合も感染の再発を繰り返したり、急性糸球体腎炎などの合併症のリスクが高まります。
子供でも放っておいて自然治癒することもありますが、その場合は治癒に1ヵ月程度かかることもある為、保育園や幼稚園を長期間休まなければならず、繰り返し出る症状に本人が一番辛い思いをすることになります。
また家族の中で感染を繰り返す場合は、一度家族全員で検査を受け、陽性が出た方全員で治療することもよいとされています。また感染者を増やさない為にも通常の風邪予防と同様に手洗いやうがいなどを行い、免疫力を高めるために規則正しい生活を送ることも大切です。