軽い咳や鼻水などでも感染するプール熱は、出席停止扱いを受ける疾患なので、初期症状を確認した時点で、学校や保育園などはお休みしなければなりません。
潜伏期間が過ぎると高熱が続き、さらに、目がひどく充血します。
後者については目薬による対処療法が可能ですが、ウイルスが原因の症例であるため、薬(抗生物質)は効きません。
赤ちゃんや幼児の場合は下痢を伴うことが多々あるという点も留意しておくべきです。
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プール熱の子供の症状とは?
プール熱というとその名前から、学校や公共施設などのプールで感染する病気だと思われがちですが、実際には、プールだけがこの病気の感染源というわけではありません。
また、子供の感染者が多いですが、だからと言って大人がかからない病気というわけでもありません。
咽頭結膜熱という正式名称で呼ばれるプール熱は、非常に感染力の強いアデノウイルスが引き起こす厄介な病気です。
目の症状は?
症例が夏風邪と似ているなどと言われますが、決定的に違うのは、先述の通り、まるで結膜炎のような目の充血が見られることです。
潜伏期間が明けてすぐ発熱があるという点も厄介ですが、これだけではまだ、プール熱に感染したのかどうかという判断が難しいので、
やはり結膜炎のような目の充血が認められた時点で内科を受診し、検査の結果プール熱の診断を受けたら、保育園や幼稚園は出席停止の扱いとなります。
下痢からくる脱水症状にも要注意!
潜伏期間が開けてすぐ高熱が続き、先述の通り目が充血してしまうのがプール熱の特徴ですが、それに加えて乳幼児の場合は、腹痛や下痢、さらに嘔吐や食欲不振などの症状を訴えることが多いです。
プール熱の赤ちゃんや乳児の症状で注意すべき点は?
前項にて、乳幼児がプール熱に感染した場合は特に、嘔吐や下痢、腹痛など消化器系の症状が見られるという説明をしてきました。
大人であれば、少しくらい気分が悪くても、あるいは消化器系が弱っていたとしても、治療のためだと思えば、頑張って食事を摂ることも可能です。
しかしながら、小さな子供にはなかなかそれが難しいのです。
だから、まわりの大人がしっかりとケアしてあげなければなりません。
脱水症状に注意
特に注意すべきなのは、プール熱により下痢や嘔吐を引き起こした子供には、脱水症状のリスクが高くなるということ。
脱水症状を防ぐために、スポーツドリンクなど、いわゆるイオン系の飲料は必携です。加えて、喉の痛みから食欲不振になる子供の気持ちを考え、喉を通りやすい食べ物で栄養を与えてあげる工夫も必要です。
最近では、テレビのコマーシャルなどでもアピールされるようになりましたが、食欲不振により栄養の摂取が困難な場合は、ゼリー飲料による栄養補給が、意外と効果的です。
その他、アイスクリームやそうめんなど、のど越しが良くて水分やカロリーを効率的に摂取できる品は、食欲不振でダウンしている乳幼児を救ってくれます。
とりあえず何か食べないと、抗生物質を飲むことすらできませんからね。
抗生物質の多用は避けるべき!
可愛い我が子が高熱に苦しんでいたりすると、できるだけ早くその症状から解放してあげたいと考えるのは、当然の親心だと思います。
しかし、熱を下げたり咳を鎮めたりという目的で、抗生物質を多用するのはお勧めできません。
なぜなら、薬の効果で一時的にプール熱の症状が緩和されても、それで病気が根治するわけではないからです。
プール熱はアデノウイルスによる強力な感染症だという解説をここまでしてきましたが、このウイルスに対抗できる特効薬は、まだ開発されていません。
つまり、確実な治療法がないというふうにも考えられます。病院で処方される薬を含め、できることはあくまで対処療法という形になります。
病状の経過を観察しながら日薬に頼るほか、この病気を治す手立てはないのです。
抗生物質に頼りすぎると、副作用の心配などが強まるため、服用はほどほどにしておくべきです。
プール熱を的確に予防するには?
プール熱は厄介な感染症ですが、予防の手立てがないわけではありません。
予防の基本は風邪やインフルエンザなどと同じく、こまめな手洗い、それにうがいです。
ただ、ここで留意すべきなのは、アデノウイルスが非常に強い感染力を持っているということ。
家庭での感染経路は、主に水回りで、タオルや洗面器具などからも接触感染を引き起こす恐れがありますので、プール熱の感染者が家族にいるとはっきりしている場合は、これらを共用することもできる限り避けるべきです。
プール熱に感染したら、保育園や幼稚園は休むべき?
プール熱は感染症なので、内科医の診断を受けた時点で、保育園や幼稚園、あるいは学校などすべて出席停止の扱いとなります。
この点は、インフルエンザとよく似ていますね。病名だけで言うとインフルエンザのほうが有名かもしれませんが、感染力の強さでは、プール熱だって負けてはいません。特に学校など公共施設では、文字通りプールの授業などがある関係で、
他の子供にプール熱を移してしまうリスクが非常に高いので、この病気は学校保健安全法にて、出席停止扱いの感染症に指定されています。
出席停止の日数について明確な規定はないのですが、おおよそ、症状がある程度おさまってから二日程度は休むべきとされています。
また、症状が緩和して学校や保育園などに行けるようになった後でも、病気のかかり始めから二週間程度は、鼻水やトイレなどを通じて接触感染のリスクが続きます。衛生管理には十分に気を配ってください。
プール熱の症状画像は?
夏風邪と混同しやすいとも言われるプール熱。病状のサインを見逃さなければ、正しい対策を取ることができますよね。
プール熱の正式名称は咽頭結膜炎だという解説はすでにしてきました。字面から、これは喉に関係する病気なのだと想像ができると思います。
その通り、プール熱に感染すると、喉(咽頭)に炎症が現れます。詳細は下の画像を参照ください。
参考画像
出典:http://www.sped.jp/disease_13adeno.htm
さらにプール熱の特徴として、結膜炎のような目の充血がみられるという解説もしてきました。具体的に、下の写真のような症状が現れます。
出典:http://www.sped.jp/disease_13adeno.htm
図のような目の炎症については、点眼薬(目薬)で対処することが可能です。
接触感染に注意
しかし、咽頭結膜熱は非常に感染力の強い病気なので、例えば、目薬の先端が炎症部分に触れてしまい、その状態で、炎症を起こしていない目に点眼しようと試みた場合、健康な結膜までアデノウイルスに感染してしまいます。
なので、家族の中にプール熱の患者がいると分かっている場合は特に、目薬の共用をしないよう注意してください。
一つ一つの注意が、感染の拡大防止につながります。